現代の文学と文化1

《近代・現代ノンフィクション作品を読む/書くためのレッスン》


講義内容

現在わたしたちは、情報・文化から政治・経済にいたるまで、根底的な転形期を体験しつつあります。グローバリゼーションの急展開、世界的規模での「帝国」の成立と国内における治安監視体制構築の連動、戦争とよぶにはあまりに一方的な攻撃と殲滅の連鎖、インターネットを介した情報環境の再編成、世界大で「100年に1度」と称される経済恐慌――それゆえの「人間」および「主体」のはてしない未知化。

昨日までは見たことも聞いたこともない出来事が、今日はすでに事実として存在する、しかしあっというまに見慣れてしまう「事実」はすぐに見えないものになっていく、こうした時代をわたしたちは生きています。

近年、フィクションにましてノンフィクションがつよく求められているのも頷けます。
 ただし、ノンフィクションは、とらえにくい「事実」をただ記述する事実追認型のジャンルではありません。個々のノンフィクション作家(ライター)が、確固とした思想と、独自の取材方法と、独特な文体によってつくりだす事実発見型のジャンルであり、その発見にもとづく事実批判型(さらに「事実をのせている構造」批判型)のジャンルなのです。
 だから、ノンフィクション作家は、事実を提示する透明な媒体ではありません。フィクション作家にましてノンフィクション作家が「個性」的なのは理由があるのです。

本講座に登場する講師は、個性的なノンフィクション作家のうちでもとりわけ個性的な人々です。講師それぞれの体験をふまえた、興味深いノンフィクション論が展開されるはずです。また、新進の文学研究者によるノンフィクション論も展開されます。この講座をきっかけに、ノンフィクションのおもしろさ、意義、可能性をつかみ、明日のノンフィクション作家、明日のノンフィクション評論家、研究者をめざしてほしい。

 

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授業の到達目標

ノンフィクションの基礎を学び、作品制作または研究の第一歩をふみだす。

 

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授業計画

第一回目 オリエンテーション・ノンフィクションとはなにか(谷口基)

第二回目 ノンフィクション原論1 (吉田敏浩)

第三回目 ノンフィクション作家の「ある一日」(吉岡忍)

第四回目 ノンフィクション原論2 (吉田敏浩)

第五回目 ノンフィクションの歴史1(谷口基)

第六回目 ノンフィクション原論3 (吉田敏浩)

第七回目 ノンフィクションの歴史2(谷口基)

第八回目 ノンフィクション原論4 (吉田敏浩)

第九回目 ノンフィクションの歴史3(谷口基)

第十回目 ノンフィクションの歴史4(谷口基)

第十一回目 各論 オキナワ(谷口基)

第十二回目 各論 オキナワ(谷口基)

第十三回目 各論 石牟礼道子『苦海浄土』を読む(田村景子)

第十四回目 各論 石牟礼道子『不知火』の世界(田村景子)

第十五回目 ノンフィクション論の展望と教場レポート(辻吉祥)


★講師および回数の変更の可能性があります。初回のオリエンテーションまでには確定します。

★本講座のコーディネーターは高橋敏夫です。

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参考文献

授業ごと担当講師によって提示されるもの(多数)。

 

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評価方法

試験 0%
レポート 70%
成績評価においては、その成績をA+(優)、A(優)、B(良)、C(可)、F(不可)の五段階評価とし、C以上を合格とする。A+、A、B、Cについては、課題に対する理解度、独創的視点の有無、文章表現の巧拙を総合して判定する。
平常点評価 30%
出席回数は授業回数の三分の二以上を必要とする。
その他 0%

 

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