日本語日本文学演習7C(現代文学)

    《現代文学の流れをたどりつつ、画期的な作品を詳細に読む試み1》


 

講義内容

「現代文学」のはじまりにいるのは誰でしょうか? 川端康成、林芙美子、三島由紀夫、埴谷雄高、中上健次、村上龍、村上春樹、ヤンゾギル、吉本ばなな、江國香織、桜庭一樹、川上未映子またYoshiとSaori……。むずかしい、ですね。その作家がはっきりしている人よりはむしろ、はっきりせず、問いのまえで困惑してしまう人こそ、このゼミに参加してほしい。既成のどのような「たしかさ」より、現在という未知にかかわる「あいまいさ」をたいせつにする人を、歓迎します。

ここで試みるのは、「現代文学」をあらかじめ自明の対象とせず、さまざまな作品を検討するなかから、「現代文学」なるものの姿をうかびあがらせる作業です。この試みには「現代」とは? 「文学」とは? という問いあるいは問い直しも、同時にもとめられます。たとえば、ケータイ小説と従来の小説とのちがいはなにか、「新しい戦争」をひとまずのりきったかにみえる「帝国」は「現代文学」といったいどうかかわるのか、あるいは……。はっきりとした答えなどどこにもありません。だからこそ、みなさんの試みは、多方向にひらかれ雑音にみちた、楽しく愉快なものになるのです。「教科書のないいとなみ」の辛さと楽しさと。

秋学期の8Cゼミにつながるこの7Cゼミでは、「戦後文学」がスタートする1945年から、中上健次、村上龍、村上春樹らが登場する1970年代末までをあつかいます。主なテーマと作家は以下のとおりです。

1「滅亡・廃墟」からはじまる――武田泰淳・椎名麟三
2無頼派が駆け抜けた――太宰治・坂口安吾
3「私が私であることの不快」と植民地体験――埴谷雄高(はにやゆたか)
4生きつづけている「軍隊」――野間宏・大岡昇平・大西巨人
5プールサイドの翳(かげ)り――庄野潤三・安岡章太郎・島尾敏雄
6「過去」を殺せ!――松本清張・水上勉
7「経済」という怪物の登場 ――城山三郎・黒岩重吾
8ちょっと困った「近未来」――星新一・筒井康隆・小松左京
9「若者」たちがあふれだす――石原慎太郎・大江健三郎
10革命・差別・苦悩教――井上光晴・小田実・高橋和巳
11日本と美と死と――川端康成・三島由紀夫
12風に吹かれて、笑って――五木寛之・井上ひさし
13豊かさのなかの不安――古井由吉・後藤明生
14セックス・暴力・ドラッグのゆくえ―――村上龍・立松和平
15差別へ/差別から―――中上健次・塩見鮮一郎
16喪失の歌は聴こえない――村上春樹の登場

(日本語日本文学演習8Cと一緒に履修することがのぞましい。講義内容・講義計画の詳細はWeb上の講義要項で)

 

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授業の到達目標

戦後文学から現代文学までの作家・作品研究を通して、現代文学評論・研究の第一歩をふみだす。

 

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授業計画

第1回 オリエンテーション

第2回 「日本・近代・文学」「現代・文学」という未確定な領域をめぐる講義

第3回 「近代文学史」「現代文学史」の常識をおさえる講義

第4回 テキストの確定と「読む方法」と先行研究・批評との対話をめぐる講義

第5回 さまざまな作品をめぐる発表その1

第6回 さまざまな作品をめぐる発表その2

第7回 さまざまな作品をめぐる発表その3

第8回 さまざまな作品をめぐる発表その4

第9回 さまざまな作品をめぐる発表その5

第10回 さまざまな作品をめぐる発表その6

第11回 さまざまな作品をめぐる発表その7

第12回 さまざまな作品をめぐる発表その8

第13回 さまざまな作品をめぐる発表その9

第14回 さまざまな作品をめぐる発表その10

第15回 まとめ+昼休みの食事会(昼・午後連続長時間ゼミ開催)

 

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教科書

そのつど指摘。早稲田大学国文学会発行『国文学研究』(実験実習費により教室で配布)。

 

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参考文献

そのつど指摘。

 

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評価方法

試験 0%
レポート 70%
成績評価においては、その成績をA+(優)、A(優)、B(良)、C(可)、F(不可)の五段階評価とし、C以上を合格とする。A+、A、B、Cについては、課題に対する理解度、独創的視点の有無、文章表現の巧拙を総合して判定する。
平常点評価 30%
出席回数は授業回数の三分の二以上を必要とする。
その他 0%

 

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